KINEN KINSHI
禁煙なんぞとうにやめたのです。
そうしてこのような時間に、近くのコンビニへと、さも興が乗って夜の散歩でもする如く、だがしっっかりとした足取りで、ニコチンを買いに出かけた。
街は静かで、幹線道路を走る車だけが、時折獣のように通り過ぎる。
ジッポの冷たい音、吸い込む苦い味がほどほどに郷愁をさそう。
ニコチンが満たされただけ。
ひと月前、親会社の上役の「いいから吸え!」の一言で禁煙は終わり、しかし以前のキツいタバコを吸わないように様々な種類を試している。
身重の妻のためにも、この悪習をやめたいな。でも美味しいな。と、吸っている。